日本の時計メーカーによるクオーツの開発は世界を震撼させるものでした。世界の時計産業の盛衰に影響したためクオーツショックと呼ばれました。

日本メーカーの起こしたクオーツショック

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日本の時計ブランドが世界的に認められるようになるきっかけとなったのは1964年の東京オリンピックでのことでした。
オリンピックの公式計時機器としてセイコーの機械式ストップウォッチが採用され、それまで国内だけの市場だった日本製の時計は世界相手の時計としてのスタート地点に立ちました。
さらに世界でその立場を躍進させるきっかけとなったのはなんといってもクオーツ時計の開発にありました。
1969年、セイコーは世界初のクオーツ腕時計(水晶発振式)であるアストロンを発売しました。
クオーツとは「Qurat」と書きますが、日本語では水晶という意味になります。
そのため発売当初は値札などに「水晶腕時計」といった表示がされ、当時の定価は45万円と大変高価なものでした。
この水晶をもちいた原理は第二次世界大戦以前に考案され、天文台で使用するなど大型の置時計には使われていましたが、腕時計に使えるサイズまでに超小型化したのはセイコーによる技術の開発力といえるでしょう。
実際セイコー最初のクオーツ時計は1959年に作られたもので幅は1300mm、高さは2100mmと成人男性の高さをはるかに上回る巨大なものでした。
しかし4年後の1963年にはクリスタルクロノメーターとして幅160mm、高さ200mmと小さな置時計サイズにまで縮小化に成功、そしてさらに5年後には腕時計アストロンの開発成功に至りました。
腕時計の内部構造を根本から覆すようなクオーツの発明は世間から大注目を集め、また機械式やそれ以前の各種電池式に比べると、圧倒的に誤差が少ないという点が普及の最大の要因となりました。
当時の腕時計では一日に15秒ほど、一か月に7分から10分ほど狂うのが当たり前の時代でしたが、突如、一カ月で数秒ほどしか狂わないクオーツ腕時計の発明がなされたため、1970年代には市場を席巻しました。
その結果、スイスや他の機械式腕時計大国ともいえるヨーロッパ諸国のメーカーやブランドは壊滅的な打撃を受け、20世紀半ばまで全盛を誇っていたアメリカの時計メーカーは全滅状態となりました。
これをクオーツショックと呼びます。
クオーツ時計は年々精度もさらにあがり、現在一般的なクオーツ時計の精度は月差約15〜20秒とされていますが、誤差が一年間に10秒以内という高精度の年差クオーツというものも開発されています。
またアラーム機能、ストップウォッチ機能など腕時計の高機能化が進む一方で、開発力によりクオーツ時計の低価格化が進み、かつては超のつく高級品であった腕時計も、誰もが手軽に身につけられるアイテムとなったのです。

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